数学科の就職

主に理系の就活(特に数学科)について、徒然と数学科出身のクオンツが語る。

理系就活の推薦の使い方と選考辞退のコツ

アクセス数17,000突破(2016.4.21)を記念して、今回は理系の人達が気になるであろう推薦について語る。
(2017.4.1現在 45,000突破)
(2019.5.4現在 107,000突破)

良心的な学生や保護者はこの記事に嫌悪感を抱くかもしれない。私自身、この記事を就活前に読んでいたら、嫌悪感を抱いていた可能性が高い。

知恵袋などネット上では、推薦企業の辞退はできるのか?という問いに対して、常識人らしき人が自由応募の企業の方を諦めるしかないと回答している。

だが、自分の経験や周囲の友人の体験から言って、それは絶対的に正しいと言える回答ではない。

批判はあると思うが、企業優位な就活に立ち向かっていた自分達と同じ立場にある学生のために記事を書くこととした。(後付推薦に踊らされて、就職留年や浪人をした友人が複数いるので)

------------------------------------------
推薦は誰の為にあるのか冷静に考えて欲しい。

推薦は、企業が欲しい特定の人材を確保するためのものであり、学生のためにあるものではない。

だから、企業の推薦は特定の学校にしかないし、内定後に学生を拘束するものなのだ。

------------------------------------------
○推薦の種類

推薦には、従来の推薦、最終選考前提出の推薦、内定後に提出する後付け推薦などがあるが…

推薦の性質に着目して分けると、
「選考優遇型」と「内定者拘束型」、そして「受験資格型」の3つがある。

「選考優遇型」:企業から特定の学校へ求人をする従来の推薦である。推薦で受験してきた学生は、自由応募の学生よりも選考プロセスが短かったりする。内定後にその企業に就職することが前提なので、内定者拘束も含意していると言える。

「内定者拘束型」:後付け推薦や最終選考前に要求される推薦などである。従来の推薦と異なり、特定の学校に予め推薦枠が用意されているわけではない。

選考プロセスが短縮されたりなどの優遇がされるものではなく、内定後に企業へ就職することを約束するだけのものである。選考プロセス優遇といったものが無く、拘束だけされるものなので学生にとっては旨味は無い。
*少人数採用の専門職採用の場合、自由応募で受験していたのにも関わらず、内定後に後付け推薦の提出が求められることもある。


「受験資格型」:企業から特定の学校に求人する推薦であるが、そもそも推薦で応募しないとほぼ内定出来ない企業の推薦のこと。
富士通

--------------------------------------------
○推薦の使い方
1.学生が都合の良いように使う。
*第一志望でも、滑り止めでも

2.自由応募の企業も併願する。
推薦企業だけしか受けないというのは、推薦が確実に内定となるものでない限り、絶対にやめた方がいい。推薦は、自由応募と併願するもの。
*経験的に、面接前までにES通過自由10社前後、推薦3社接触済(内1社推薦枠確保)の持ち駒がベスト。

3.最悪、推薦企業の内定後でも辞退できる。
*"推薦辞退した場合は次年度以降推薦枠を無くすので、後輩の迷惑になる"というのは脅し以外の何ものでもない。本来、推薦というのは学生を企業にススメるものであり、推薦されるに足る後輩ならば、自由応募で受けても推薦と同じ結果になるはず。

*「推薦辞退した場合、卒業させない。」と就職担当の教授は推薦の説明会とかで話すかもしれないが、実際は辞退理由による。"相応の理由"があれば、内定後にも辞退可能である。つか、卒業判定は学業・研究内容で評価されるべきであり、それ以外の理由で本人の意思に反して留年させたりするのは不当である。

--------------------------------------------
○推薦企業の辞退のコツ
1.なるべく早い選考段階で辞退する。可能であれば推薦書提出前に辞退

2.推薦企業内定前に、より志望度の高い自由応募の企業が内定した場合。
⇒既に内定をもらっている自由応募の企業の拘束等があることと、推薦企業が確実に内定をくれるわけではないことに理由にする。推薦企業の選考結果を待っていては、折角獲得した内定先を逃すことになる等。

3.推薦企業内定後に、より志望度の高い自由応募の企業が内定した場合。
⇒介護等の家庭の事情で実家に帰る(or親の故郷へ親と共に引越す)ということにする。もしくは家業を継ぐことになったなど。(←やむを得ない理由と考えられるから)

4.推薦企業内定後に、より志望度の高い自由応募の企業も内定して後付け推薦を要求された場合。
⇒3の前者の理由+地域(orエリア)採用で採用されて、その企業から後付け推薦を要求されていることにする。(←やむを得ない理由と考えられるから)

--------------------------------------------
嘘をつかないといけないのか…と抵抗を感じるのが普通の人だろう。

だが、現実的に誰も傷つけずに事を進めるには"良心的な嘘"をつくのがベストなのだ。

また本音であれ、推薦辞退の理由が、A社よりB社の方が良いからという理由(A社よりもB社の方がやりたいことができるという理由も含む)ではA社に大変失礼である。

自己本位的な理由、企業比較的な理由はNGである。

(恋人Aをフル時に、A子よりも、B子の方が素敵だから…という説明を考えてみましょう。必ずしも、正直に話すことが人間的に正しいとは限らない。)


加えて、
毎年何十人、何百人と採用している企業の内定辞退者数人による企業への影響と、
一生にそう何度も無い人生を大きく左右するような職業選択の一個人への影響を考えた場合、
如何に企業にとって内定辞退が些細なものであるかは、自明であろう。
--------------------------------------------