数学科の就職

主に理系の就活(特に数学科)について、徒然と数学科出身のクオンツが語る。

激務、地方配属など理系人材に待つ悲劇

(2019年5月時点では、3年前の記事なので少し変わっている点はありますが…あまり変わってないかと思います。)


◆大手の看板が眩しすぎて見えない悲劇

大学、もしくは大学院から無事に人気のある有名大手企業に就職が決まった理系人材に待つ悲劇について書く。

日本における新卒での就職環境について考えると、今だに大企業に勤めて比較的安定した収入が得られるようになるのが幸せだと考えている人々が多い。

最終学年で就活真っ最中の学生は、とりあえず大手に就職したいという考えに走る傾向がある。

で、なんとか何かしらの業界の大手企業から内定を確保したとしよう。

内定確保直後から卒業までは、その喜びにどっぷりと浸かり、大手企業の看板が眩しすぎて待ち受ける悲劇(デメリット)が見えていないというのが現実だろう。

あまり学生のうちは現実味が無い為に深くは考えてないかもしれないが、実際に社会人になり結婚・子供の教育・親の介護等を意識し始めるようになるとなんでもっと真剣に考えなかったんだろうと悩むことになる人が多い。

就職前に何を妥協するべきかはしっかりと考えておく必要がある。

ただ、いずれの職も有名大手の場合は、公務員と比較しても高給で福利厚生も手厚く、かつ社会的な影響力が大きい点は最初に述べておく。
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◆メーカーに就職した場合の悲劇
多くの理系の学生がメーカーに就職する。トヨタ自動車新日鐵住金等の超有名大手企業に就職出来たら、多くの学生は歓喜するだろう。

彼らに待ち受ける悲劇はなにか?

悲劇1. ほとんどの人が地方勤務になる。

考えてみれば当然である。
広大な土地を要する工場の立地として、地価の高い東京を選ぶことはあまり無いだろう。

ト○タは、静岡、愛知。
新日本○鐵は、千葉、愛知、福岡、大分…などなど。

自分の周囲のメーカー就職した友人で、東京に残っているヤツはいない。

トヨタ自動車に関しては、国内で唯一純利益年間2兆円超の確かにトップofトップであるが、東京工業大学の某専攻では3人が推薦を辞退して、埼玉県に工場がある本田技研工業に就職したと聞いた。

地方配属とは言え、故郷であるとか何らかの縁があるのであれば話は別かもしれないが…

勤務地だけならまだマシかもしれない。
待ち受ける悲劇はもう一つある。

悲劇2. イノベーションによる失業リスク。

同じ企業に就職した場合でも、イノベーションが起こり、自分の専門とする分野がいつの間にかあまり経済的な価値の無い分野になることもあり得る。そのような場合、部署は分社化→売却→大量リストラといった王道の経営再建プロセスの生贄になるだろう。

プロフェッショナルとして生きていく上で、社会動向にも目を向け、専門とする分野の成長可能性や脅威となる要素等を十分に考慮する必要がある。

理系学生には業界研究が甘い人が多い。

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◆SEになった場合の悲劇

まぁ、言うまでもないかもしれないが…

悲劇3. 激務。

日立製作所にSEとして就職した友人は、1年目の冬に月の給与が額面50万円を超えているのを飲み会の席で見せてくれた。

だが、毎日のように深夜まで働き、土日も片方は出社しているような生活を送っていた。飲み会のときですら、23時頃に会社の先輩からLineで会社に戻ってくるように連絡があり、会社に戻って仕事をしたりしていた。23時から会社に向かって、一体何時まで働くつもりなのか知りたいところだ(苦笑)

平日は朝9時から24時過ぎ終電近くまで働き、土日も片方は出社することを強いられるのは、ちょっとキツいなというのが感想である。

また、給与に関しても半分以上が残業代というのもコワイですね。

NRINTTデータ新日鐵住金ソリューションズあたりも終電がデフォルトとのことなので、このあたりの業界は激務が常態化していると言える。

ちなみに、銀行員の自分は1年目は8時-17時だったので、大分明るいうちに帰宅していた。2年目以降もどんなに遅くても20時には退社という感じである。本部はもう少し遅いが、それでもトレーダーなどの市場関係者以外は22時は回らない。

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◆金融機関や商社に就職した場合の悲劇

率直に言おう。

悲劇4. 孤独感。

営業店では99%、本部でも9割以上が文系学部卒であり、特に同期とも年齢が離れている理系院卒は周囲に馴染めずに孤独に陥りやすい。変人扱いされることもあるだろう。正直言うと、私も周囲に馴染めずに非常に孤独感を感じていた。

悲劇5.旧体質なカルチャー

実際働いてみたけど、社内政治に影響され、やりたいことも中々できないので理系人材にはキツイ
また、昔ながらのサラリーマン文化も残っている…


悲劇6.配属リスク

メーカー等と比較すると総合職一括採用が多いので配属リスクはあるが、金融機関に関しては文系人材と比較すると院卒の理系人材の場合は部署が限られるので配属リスクは低め。但し、メーカーなどよりも高い確率で、グループ内の他社に出向になることはある。例えば、メガバンクならば同じグループ内の証券や信託、アセットマネジメント、総研などが対象。中央省庁や日銀への出向も少なくない。(中央省庁への出向になるとSEとは比にならない位の激務になる可能性が…)総合商社に関しては、出向することの方が普通なので出向に関してネガティヴなイメージを持つことは間違いである。

銀行は40代後半から人件費を抑えるための出向があるが、理系人材の場合は特殊なのでちょっとそのあたりはなんとも言えない。

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◆(番外編)博士課程に進学した場合の悲劇

悲劇5. 就職先があまり無い…
最近、三井物産等で博士過程の学生を別枠で採用したりするようになりつつあるが、社会全体の受け皿まだまだ出来ていない。
(2019.4の時点では博士課程の採用が、大手企業でも少しであるが数年前と比較して僅かであるが増えてきたように思える。)